05月15日Event 更新
ニューシングル "蛹 -サナギ-"
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suzumokuの誠意、まさにsuzumokuにしかできない所業と言えよう。
研ぎ澄ませてきた刃は、いよいよ切れ味鋭く、世の中をぶった斬ってくれる。
またしてもsuzumokuがやってくれた。彼らしい毒と誠意がギラッと光った、素晴らしいシングルの誕生である。
あえて3月11日にリリースされる本作が、昨年の東日本大震災以降の日本へと向けられたsuzumokuからのアクションだというのは想像に難くないが、驚くのはその中身だ。震災以降、復興を願う歌は爆発的に増えた。亡くした人、失くした物への悲しみを癒す鎮魂歌、生きていることの素晴らしさや前向きに立ち上がることの強さを歌う応援歌、あえて特別な何かを求めたり気張ったりすることを否定して元の生活へ戻ろうとする日常の歌……形は様々あったが、どれも真摯な思いで震災後の日本と向き合った歌だ。だが、あれから1年を経た今、suzumokuが発するのは、不満と憤りの塊をぶちまけ、希望や絆を根こそぎ否定していくような攻撃的なエレジーだ。蠢くベースの不穏なイントロ、どこか苛立つように響く裏拍のドラムとカッティングギターに乗せて、凛とした声をわざと荒げてがなるように紡がれる言葉は、<「もっと頑張れ」と言われるその度に 僕の傷口は酷くなるみたいだ/「何が欲しいの?」と聞かれたらすぐさま そいつの全てを奪いたくなるだろう>という、かなり生々しい言葉。ともすればエキセントリックに、復興ムードに水を差すかのようなこの歌は、だが、suzumokuの誠意に満ちている。何故なら、1年経った今でも日本はまったく何も変わっていないからだ。相変わらず政治家と官僚と大企業の理屈の綱引きの中で蔑ろにされる被災地の現実、遅々として進まない復興、そこに対してきちんとしたアクションを起こせないでいる自分達。“蛹 -サナギ―”というタイトルの通り、そこには成長を目前にして完全には脱皮しきれない日本への悶々とした苛立ちが満ちている。そんな歌を大きな節目の日にあえてぶつけて聴く者の常識に革命を起こそうとするのが、suzumokuの誠意なのだ。過去、“週末”に始まり、“身から出せ錆”“モダンタイムス”と研ぎ澄ませてきた刃は、いよいよ切れ味鋭く、世の中をぶった斬ってくれる。まさにsuzumokuにしかできない所業と言えよう。
皮肉もちらっと見せつつ、平凡な日常の生き様を歌った応援歌“平々―ヘイヘイ―”、まさに仙台へと向かう車中で被災したsuzumokuがその瞬間に作りライヴで披露してきた希望の歌“僕らは人間だ”というカップリングの2曲と合わせると、それぞれ異なる角度から切られた震災の表情が立体的に浮かび上がってくるだろう。被災地にも、被災を免れた地域にも、復興への道のりを歩む人にも、それを横目で眺める人にも、すべての日本人へと届くことを願ってやまないシングルだ。 / 寺田宏幸(MUSICA)